2014年9月24日水曜日

東京喰種トーキョーグール 感想

※若干のネタバレあり。

ノンテロップスペシャル版 TVアニメ「東京喰種トーキョーグール」オープニング映像
TokyoGhoulAnimation(公式)

見る者に突きつける人の業


 人間を喰わねば生きていけない『喰種(グール)』という『人の心を持った捕食者』の視点を借りて、人間の『業』を視聴者に突きつける作品。

 他の生き物の命を奪いながらヒューマニズムを説く矛盾。他者を理解せず同族同士ですら奪い、他者から奪い続けなければ生きる事もままならない現実。そんな日常生活では見て見ぬ振りをしている現実をグロテスクにさらけ出す。

 本作において善悪の区別は激しく相対化されて崩壊してしまう。つまり絶対的な悪も正義もない。悪と正義が表と裏のように区別がつかなくなる。最も残忍で理不尽な人物ですらそうなるだけの理由がある。ファンタジーSFの設定を借りているが、憎しみの連鎖を作り出してしまう現実の人間の心を描いている。

 過去にもこのような善悪の相対化を試みた作品は多いが、本作は『喰う』という、他者を奪う究極的な表現で人の『業』に踏み込んだ点でより際立たせている。

極限状態の菩薩と阿修羅


 同時期にNHK ETVで放映されていた『100分de名著』の般若心経も見ていたのでどうしても関連づけて見てしまった。

『菩薩のような生き方ができるように心がけなきゃね』と思っても本来そこには激しい葛藤があるはず。主人公の母は優しい人だったが奪われるだけの人生で終わった。主人公はその母を誇りに思っていたが、心の安寧を得ようと現実から逃げてその挙げ句すべてを失った単なる弱者だ、と言われれば立つ瀬が無い。

 サバンナでも同じ事言えるの?ではないが、これだけの極限状況だから葛藤が明確となるのかもしれない。あえて極端な設定をすることで際立つ光景。修羅の道を現実に生きれば解脱したくもなるよな、と。だが、苦しみを乗り越えた先は解脱ではなく阿修羅となる哀しさ。

オープニング曲との見事なシンクロ


 地上波TVでは限界だろう残虐で不快なシーン。さすがに消しが入っているものの、これを描かなければこのテーマは表現しきれない。ホラーを楽しむためのスプラッターではないと思う。特に初回と最終回は秀逸。共にエンディング部分にオープニング曲『unravel』をかぶせてくるが、緊張感のある曲冒頭が素晴らしい・・・。

教えて 教えてよ その仕組を
僕の中に 誰かいるの
壊れた 壊れたよ この世界で
君が笑う 何も見えずに
     作詞 TK/『unravelTK from 凛として時雨より

 初回と最終回はまさにこの歌詞とストーリーを見事にシンクロさせている。
最終回の後半はカタルシス全開といった感じだが、爽快感の中に哀しみが織り込まれ歌詞の意味が際立ちます。格闘シーンとサウンドのシンクロも見事。
 ラストシーンに至ってはストーリーぶった切りという感じで、もしこれで2期なかったらどうすんだ?という感じだが、これはこれで大胆だが良いと思った。

PG12(※)が妥当かな(笑)

 
 全編にわたって重苦しいが、笑い要素(ブラックだが)もあり、戦闘シーンの迫力もあり、もちろん謎解き要素もありテンポよく楽しめる。しかしあくまでテーマは深く重い。

 まったく子供向きではなく、むしろ見せてはいけないという意味でも、深夜でやる事に意味のある作品。変な思想に染まりそうで怖い(笑)。これほどハードルの高い作品をアニメ化した点は大いに賞賛したい。

 原作は謎が解明されずに壮絶な終わり方をしたとの噂だが、別にそれで良いのではと思わせる。そもそもすっきりするようなテーマではないし矛盾を抱えて当然だから。

※ここでの『業』は人が生きる上で逃れられない矛盾という程度の意味で使いました。
PG12 (12歳未満(小学生以下)の鑑賞には、成人保護者の助言や指導が適当とされる指定)

東京喰種トーキョーグール 公式サイト
http://www.marv.jp/special/tokyoghoul/

あらすじ
人間世界に紛れ込み、人を喰らう正体不明の怪人・喰種が蔓延る東京。ある青年「カネキ」は喰種・リゼに襲われ瀕死となるが、喰種の臓器を移植されたことで、半喰種となってしまう。それ以来、カネキは苦悩と恐怖に満ちた日々を送ることになる。wikipediaより引用

東京喰種トーキョーグール(全12話 2014年)
原作:石田スイ(週刊ヤングジャンプ連載)
監督:森田修平 シリーズ構成・脚本:御笠ノ忠次
アニメーション制作:studioぴえろ

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